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「自分らしさ」という魔のワード
2019.5.11
SNSやネット上でよく見かける「自分らしい家をつくりませんか?」という住宅会社のキャッチコピー。
「自分らしい○○」って、耳ざわりの良い言葉ですよね。
でもコスパ重視のハウスメーカーが、クライアントの「自分らしさ」についてどこまで本気で考えてくれるの?
と少々うがった見方をしてしまうのは僕だけでしょうか。
ちなみに私たちの会社名は「AS IT IS」。訳すと「あるがままに」です。
「自分らしい○○」と似ているようですが、少し意味合いが違います。
今回は僕たちが考える「自分らしい家」についてお話したいと思います。
「自分らしい家」とは言うけれど・・・
住む人にとって使い勝手が良く、個性がそのまま表現された「自分らしい家」は、クライアントにとって最高の家ですよね。
もちろん僕たち作り手も、クライアントに心から満足してもらえることが一番の願いです。
でも「自分らしさを見つけてくださいね」とクライアントに丸投げしてしまうのは、ちょっと無責任かなと思います。
子供時代、「青春18きっぷ」を握りしめてあてもなく旅をした経験はありませんか?
一人でどんなに歩き回っても、本当の自分なんて見つかりませんよね。
旅で多くの人と関わってこそ、自分とは何かがわかっていくものです。
そう、人は自分ひとりで自分の「自分らしさ」を見つけることは難しい。
だからこそ僕たちがクライアントの要望や価値観を上手に引き出していくことが、作り手としての役目ではないかと思うのです。
その人その人のピカッと光る個性を見つけられれば設計者冥利につきますし、私たちの自己実現にもつながります。
自分らしさを出せていますか?
とはいえ「長いものに巻かれろ」の風潮が強い日本では、自分らしさを出すのも一苦労ですよね。
同調を強いられるこの日本において自分らしく生きるには、あえて空気を読まないことが大切だと僕は思います。
例えば残業が当たり前の会社に務めていると、自分の仕事が終わっても、周りの目が気になって自分だけ早く退社できなかったりしますよね。
それはあなたが、必要以上に空気を読んでしまっているからです。
自分がしっかりと成果を出して会社に貢献できているなら、時にはプライベートを優先しても構わないはずです。
それで上司からにらまれたりパワハラされたりするのであれば、そんなブラック企業はとっとと辞めてしまいましょう(笑)!
人にどう見られているか何を期待されているか僕たちはどうしても気になってしまいますが、家族や大切な人を犠牲にしてまで守るべきものなのかどうか…?
そこを判断基準にすべきだと思います。
自分の心にウソをつかず社会の圧力に負けず生きることが、「自分らしさ」を見つける第一歩ではないでしょうか。
おわりに
独立した頃の自分を思い出して、つい熱く語ってしまいました(笑)
僕はこれまで百近い家づくりに関わらせてもらい、クライアントにとって「自分らしい家」を建てることがどれだけ難しいかを体感してきました。
僕たちがどんなに努力しても、クライアントの「自分らしさ」をつくることはできません。
僕たちにできるのは、ただクライアントの「あるがまま」を引き出すお手伝いだけです。
だからこそ同調圧力の強いこの社会で、自身を見失わないような自由な生き方をしてほしいと思っています。