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家づくりをはじめる前に知っておきたい住宅業界4つのポイント

2017.4.12

家づくりをはじめるにあたって、どこに依頼すれば最もユーザーに適した良い家づくりができるか分からないという悩みを抱えている方は多い。

その悩みを解決するために住宅業界という全体を見てもらい、注文住宅会社各社のメリット・デメリットを把握し、ユーザーの性格や価値観に基づいた、注文住宅の依頼先を判断する参考にして欲しい。

注文住宅業界4つのチェックポイント

  1. 市場規模はどの程度か?
  2. 住宅業界の歴史は?
  3. 住宅会社の種類とメリット・デメリット
  4. ユーザーの性格、価値観に適した住宅会社はどこか?

住宅業界の市場規模

注文住宅の依頼先を検討するにあたり、インターネットや資料請求などで情報収集をしていると、なぜこれほどまでに注文住宅の会社が多いか悩まれる方は多いと思う。
まずは住宅業界の全体像を把握して欲しい。

市場規模

引用元
平成業界動向SERCH.COM

業界規模は8兆9,721億円とあります。
その他の業界の市場規模はどうでしょうか?

  • 自動車業界は60兆3,720億円
  • 小売業界は56兆3,953億円
  • IT業界6兆0,030億円
  • 飲食業界4兆2,526億円

決して小さくは無い市場ですが、なぜここまで多くの会社が乱立する状態なのでしょうか。

例えば、自動車業界を見るとメーカーの寡占状態(市場が少数の売り手に支配されている状態)になってます。
国産自動車で言えば、トヨタ、ホンダ、日産、マツダと数社の中から選択することを検討します。

一方で住宅業界は地域で依頼できるハウスメーカー、工務店、設計事務所、パワービルダー、地場ビルダーなどの数は数十社~数百社とあります。

なぜでしょうか?

寡占状態にならない理由

理由1:自動車業界などと比較すると新規参入がしやすい業界

理由2:住宅業界は産業構造になりにくいというのが、一つの理由だと思います。
戦後、大量に住宅が必要だった時代に大手プレハブメーカーが工業化によって進めてきましたが、時代の変化に伴い住環境には多様なニーズが求められてきました。

その多様なニーズにプレハブ住宅では対応できなかったからだと思います。
他にも色々な要因があると思いますが、分かりやすく言うと下記の通りです。

「家(住宅)=これが私!!と言える価値観の集積」

その多様な価値観にはプレハブ住宅のような規格型住宅では対応できないために色々な住宅会社がいる現在の状態が生まれたのだと考えられます。

シェア率

各住宅会社のシェアを見たいと思います。

日本住宅供給センター等の調べではハウスメーカーと地場ビルダーが全体の3~4割程度で残りを地域の工務店が占めています。

ここで言う地場ビルダーとは主に年間施工棟数が20棟以上の施工をしている住宅会社を言います。
年間棟数19棟以下を工務店と定義しています。

全体のシェア率で見れば、ハウスメーカー+地場ビルダーのシェアが4割、工務店のシェアが6割程度です。

住宅業界の歴史

 

住宅業界の歴史

歴史上最も古いのは578年創業の金剛組という工務店でギネスブックには世界最古の企業として認定されています。
戦後大量に住宅供給が必要な時代に伴い、ハウスメーカーが生まれたので、歴史的にはハウスメーカーは比較的浅いようです。

海外の住宅業界

海外にハウスメーカーはあるのでしょうか?

かつてはドイツ等であったそうですが、次第に淘汰されていったそうです。
ハウスメーカーとは日本独特のシステムで海外にはハウスメーカーという存在は無いそうです。

建築大国のアメリカやドイツなどでは工務店に依頼するか、建築家に図面を書いてもらい地元の工務店に施工してもらうという形のようです。

住宅会社の種類とメリット・デメリット

インターネットや総合展示場では自社の特徴ばかりでメリット・デメリットが明確でなく分かりづらく感じている方も多いと思う。一般的な注文住宅会社各社のメリット・デメリットを把握して欲しい。

大手ハウスメーカー

  • 年間棟数1000棟以上
  • かつて8大大手と言われたハウスメーカーでTVCM等の大々的な広告をしている住宅会社

メリット

  • 住宅を自社工場で生産するシステムなので、品質の安定性が高い
  • 社会的信用があり、倒産の心配が少ない。
  • 営業、設計、インテリアコーディネーター、現場監督の職域が分かれているので、効率的に家づくりが進む
  • カタログや実例が豊富なのでイメージがしやすい
  • 自社で開発研究しているため、技術進歩が高い
  • 工期が短い

デメリット

  • プレハブ化・工業化した住宅なので、プランの自由度が低い
  • 広告宣伝費用、展示場経費、人件費のコストがかかるため比較的高い
  • 下請けの工務店が入るため、品質の割に比較的高い
  • 職域が分かれているので、たらい回しに合うことがある(あるいは責任が明確で無い場合がある)
  • 設計・デザインの自由度が比較的低い
  • 全ての職域で担当者によってレベルのばらつきがある
  • 人事異動などが頻繁にあるので、大事な時に異動の可能性がある
  • 効率を重視しているので、打合せ期間や回数に対してのノルマがあるため、プランの打合せがゆっくりできない
  • ユーザーの細かいニーズに対して標準外になると、とたんに高くなる
  • 年間棟数が多いので、担当者一人あたりの受け持つ棟数が多くなる

中堅ハウスメーカー

  • 年間棟数100棟以上で複数県にまたがって事業展開

メリット

  • 大手ハウスメーカーと比較すると価格が安い
  • 営業、設計、インテリアコーディネーター、現場監督の職域が分かれているので、効率的に家づくりが進む
  • カタログや実例が豊富なのでイメージがしやすい
  • 工期が短い

デメリット

  • 大手よりは広告宣伝費はかけていないが、地場ビルダーや工務店より広告宣伝費のボリュームは大きい
  • 職域が分かれているので、たらい回しに合うことがある(あるいは責任が明確で無い場合がある)
  • 設計・デザインの自由度が比較的低い
  • 全ての職域で担当者によってレベルのばらつきがある
  • 人事異動などが頻繁にあるので、大事な時に異動の可能性がある
  • 効率を重視しているので、打合せ期間や回数に対してのノルマがあるため、プランの打合せがゆっくりできない
  • ユーザーの細かいニーズに対して標準外になると、とたんに高くなる
  • 年間棟数が多いので、担当者一人あたりの受け持つ棟数が多くなる

パワービルダー

  • 全国規模で事業展開し、年間棟数1000棟以上
  • 土地付き一戸建ての建売住宅を販売している住宅会社なども含む。TVCM等の大々的な広告も行っている

メリット

  • 数を多くやることによって原価を抑え、薄利でやっているのでとにかく安い
  • 工期が短い
  • 金額が最優先事項という方にとっては土地+建物で安く購入できるのでメリットがある
  • 住めれば十分で家賃を払っているのがもったいないという方にはメリットがある

デメリット

  • オプション範囲が広い。シャッター、コンセント、テレビアンテナ、網戸がオプションの所もある
  • 企画型住宅、建売住宅のため設計・デザインの自由度が極端に低い
  • 工期が短く、工事状況も不明確な所があるため品質に不安がある

地場ビルダー

  • 地域密着で年間棟数20棟以上の工務店

メリット

  • 営業、設計、インテリアコーディネーター、現場監督の職域が分かれているので、効率的に家づくりが進む
  • カタログや実例が豊富なのでイメージがしやすい
  • 工期が短い

デメリット

  • 広告宣伝費用、展示場経費、人件費のコストは比較的安い
  • 職域が分かれているので、たらい回しに合うことがある(あるいは責任が明確で無い場合がある)
  • 全ての職域で担当者によってレベルのばらつきがある
  • 年間棟数が多いので、担当者一人あたりの受け持つ棟数が多くなる
  • フランチャイズや特定の工法や特定の設備を押し出している工務店は自由度や制約をハウスメーカー同様に受ける

工務店

  • 地元で年間棟数19棟以下

メリット

  • 同じ仕様であれば、比較的安い
  • 広告宣伝費はもっとも安い
  • 親しみやすさ、家族経営的な所が多い
  • 設計に関する自由度が高い
  • 融通が利く
  • こだわりたい部分はアップグレードし、こだわらない部分はダウングレードすることが可能

デメリット

  • 敷地条件に合わせた設計やユーザーの要望を叶えることができる設計力のある工務店が少ない
  • フランチャイズや特定の工法や特定の設備を押し出している工務店は自由度や制約をハウスメーカー同様に受ける
  • 全くデザインや設計に気を配らない工務店や建築家顔負けの工務店まで様々
  • いつ倒産するか分からないという不安が先にくる

設計事務所

  • 設計業務のみを生業としている
  • 工事金額の数%や坪いくらのような形で設計報酬を得ている組織
  • 設計事務所の場合はプラス協力してくれる工務店が他に必要

メリット

  • こだわりの家や理想の家を実現しやすい
  • 細かい打合せが可能
  • ユーザーに代わって、工務店の施工する建物をチェック・監理するので、欠陥住宅を防ぎやすい
  • 工務店やハウスメーカーと比較して、設計やデザインの自由度は最も高い

デメリット

  • 設計報酬費用が他社より高く、数百万円かかる
  • 設計が完了してからでないと、正式な工事金額が出せない
  • コストコントロールができない建築家の場合高くなる

ユーザーの性格や価値観に適した住宅会社

メリット・デメリットはユーザーの視点によって変わってくるので、ユーザーの性格や価値観の違いによる住宅会社選びをしてほしい。

自分の価値観や好きなものが明確な人や飽きっぽい人

設計事務所や設計施工の工務店に依頼することをお勧めします。 
工務店といっても色々ありますので、特に設計力のある工務店に依頼下さい。
なぜならば、価値観や好きなものが明確な人はよりこだわりの満足度の高い注文住宅をつくりやすいためです。

完成してからの家の満足度は3割の人しか満足感を得られていないという統計があります。
そのため、30年40年と長く住むことになる家で飽きのこない家づくりができる会社と進めることをお勧め致します。

じっくりと打合せすることができる設計事務所か設計施工の工務店に依頼することが良いです。

自分の好みが明確でない人や時間が無い人

大手・中堅ハウスメーカー、パワービルダーをお勧め致します。
なぜならば、豊富な実績を元に好みを明確することができるからです。

家づくりの主導権を持っている方(奥様、ご主人いずれか)が時間が無い場合には、打合せもシステム化されている会社を選んだ方がユーザーの負担が少なく済みます。

とにかく考えるのが面倒くさいので、流れに身を任せて進めてもらい人

大手・中堅ハウスメーカー、パワービルダーをお勧め致します。
たくさんの事例がありますので、その中から選ぶことができますので、特に考える必要もありません。

そして建売住宅であれば、すでに実物の家がありますので、見て選ぶだけで済みます。

まとめ

  • 住宅業界の市場規模を知る
    全体像を見て、「これが好き!」というユーザーの価値観を明確にしたのちに住宅会社選びの準備を進める。
  • 住宅業界の歴史を知る。
    ハウスメーカーは日本独特のシステムだということを知る。
  • 住宅会社各社のメリット・デメリット
    一般的なメリット・デメリットを知り、自らの価値観と照らし合わせる。
  • ユーザーの性格と価値観に適した住宅会社選び
    ユーザー自身の価値観がどれに近しいかを判断し、適した住宅会社選びの材料とする。

住宅会社を選ぶという行為は大変な負担なので、ユーザー自らの性格や価値観に照らし合わせて、まずは数ある会社の中から選別の手助けになればと思います。